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最近神話を少しばかりかじっている。前2500年(日本では縄文時代中期)のクレタ島に、まるで現代にタイムスリップした様な高度に洗練されたミノア文明が出現し前1500年ころ最盛期を迎えた後ミケナイ文明に吸収され前800年頃ホメロスの叙事詩やヘシオドスの神統記により今のギリシャ神話に体系化されたのだそうだ。

クレタ島の神秘を学ぶうちに、実は鉄器をもたらしたヒッタイトの神話がクレタのテュポン怪獣や巨人族等ギリシャ神話に影響を与えたらしいとの「BBC地球伝説」番組でのオックスフォード大フォックス教授の解説に刺激を受け、オリエントの考古学も学び始めた。するとヒッタイトは文明・神話をそっくり前3500年の世界最古のシュメール文明をコピーした事がわかり、今はメソポタミヤがワクワクする舞台である。

メソポタミヤはアフリカ大陸で誕生した人類が陸路でユーラシアに最初に渡って来た回廊の一部に当たり、チグリスとユーフラテス川の間の湿地帯である。そこに定着して人類最古の麦類の栽培や動物の家畜化に成功し、絵文字・楔形文字を発明、更に聖書の創世記のノアの箱舟に繋がる大洪水伝説を生みだしたり、世界最古の都市文明を構築する等の驚く様な偉業を成し遂げたのは、メソポタミヤ南部の謎のシュメール民族である。

時代を経て北部アッカド人に吸収され、古バビロニア、ヒッタイト、フェニキア、新アッシリア、新バビロニア、ぺルシャ、ヘレニズム世界へとその文明は引き継がれ、その影響は広く東西の世界に伝播したらしい。東西の神話がギリシャ神話ウラヌス(天空神)・ガイア(大地神)とギルガメシュ神話のアン・ニンフルザグ、アフロデイーテと明星神イナンナ、ペルセポネと冥界の女王エレキシュガル等々その相似性は面白い。

これまではその説明として文化の伝播交流ではなく、かの有名なユングの集合的無意識論ではないかと教えられたが、本当だろうか。考古学の世界では、科学的なエビデンスで地道な歴史の実証が積み重ねられており、アナトリア(トルコ)の発掘調査でクレタと同じ新石器時代の土器類が多数見つかった事からオリエント文明が小アジアを経由してクレタに伝わったことは間違いないと専門家は一致してるそうである。

翻って臨床心理学の世界も少し日本では遅れているが認知行動療法を始めエビデンスベースがこれからの主流であろう事は間違いないと思われる。ロールシャッハテストの原板が大英博物館に寄贈されたとのニュースは此の事を象徴しているのではなかろうか。

(H25.7.24 NPO法人キャリアデザイン研究所理事長 山口 勝三)

 
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