現在、いわゆるニート(就業、就学、職業訓練のいずれもしていない人)、およびひきこもり状態にある方は、全国で90万人とも100万人ともいわれています。ニートやひきこもり状態にある人は、自ら望んでそのような状態になっているわけではなく、そうせざるを得なかった、ひきこもりという選択肢しかとることができなかった人たちともいえると思います。
20世紀を代表するアメリカの心理学者、マズローは、人間の欲求は、5段階あると言っています。
➀生理的欲求(食べる、寝る等)、②安全欲求(心身の安全)、③社会的欲求(どこかに所属したい、愛し愛されたい)、④承認欲求(人から認められたい、自分を自ら認めたい)、⑤自己実現欲求(自分の持てるものを最大限に発揮して自己実現したい)の5つです。これらの欲求は、生理的欲求が満たされて初めて安全欲求が出、安全欲求が満たされて初めて社会的欲求がでると言われています。
多くの人が、人との交流や仕事や社会参加を通じて、社会的欲求や承認欲求、自己実現欲求を満たしていますが、ニート・ひきこもり状態にある人はそれが難しい状態にあります。ニート・ひきこもり状態になられた方のご家族は、ご本人の将来のことを心配され、社会参加や就労を模索し、また、ご本人にどう接してよいか迷われて、ご家族もまた悩まれています。
2005年、CDIでは千葉県東葛地区にて大学・高校のキャリア教育事業(就労支援・各種講座)を受託いたしました。就労に困難を抱えた無業者が増えてきている時代でもあり、キャリアを描くことに苦心している若者に対して就労支援を行うことは大変意義深いことであります。また、「漂流する若者を支援し社会に送り出す」を理念とするCDIにとって、避けて通ることのできない解決すべき社会課題の一つでもありました。
そうした中、2007年にご縁のあったつくば大学の医学博士・斎藤環先生による「ニート・ひきこもり親セミナー」を開催するに至りました。本セミナーを通じて、ニート・ひきこもり状態にあるご本人はもちろんのことですが、その家族をも社会から孤立させてはならないとの思いを抱きました。
その結果、CDIとして、孤立した状況を少しでも緩和させたい、出来ることなら解決したいという想いのもと、ご家族をサポートする「さなぎの会」がスタートいたしました。
ニート・引きこもりのご家族の方は、自分の家庭だけではないか?と思われたり、また身内にニート・引きこもりがいることについて「恥」に感じられたり、誰にも心情を話すことができず相談できないこともおありのようです。そのためご家族が精神的に追い込まれてしまうことも少なくはありません。
ニート・引きこもりをもつご家族の会である「さなぎの会」に参加されることで、同じ境遇のご家族のお話を聞いたり、ご自身のご家庭の状況やお気持ちを話されたりすることで気持ちが楽になることがあるかもしれません。ご本人への接し方のヒントになった、ご家族の方の心の持ちよう、日々の過ごし方など、参加ご家族との交流の中から様々な気付きを得たとのお声をいただいております。その例をご紹介いたします。
・さなぎの会に参加することでヒントが得られて具体的な対応を工夫した結果、本人に前向きな行動がみられるようになった
・親自身が楽しいことや嬉しいことに目を向けることで家庭の雰囲気が変わった
・親が子を信じること、それによって子が変わっていくきっかけになった
・本人が就職に至らないことを、「もどかしい」と思うのではなく、本人のちょっとした変化、ふとした両親への一言を思い起こしてそれを認めることが大切。本人は親が知らず知らずのうちに動き始めているということがわかった
・就職できない子を責めてしまっていたが、元引きこもりの若者の話を聞き、子の思いや事情を理解することで、「責める」気持ちが「応援する」気持ちに変化した
・本人の話を聞くように心がけたことで、本人の気持ちが穏やかになったようだ
・会に参加して他の参加者からの助言を試したら夫など家族が協力してくれるようになった
・支援機関のつなぎ方を他の参加者から知り、それとなく薦めたら若者サポートステーションにつながった
・数か月前まで引きこもっていた若者の話を会で聞き、希望を見た気がする
さなぎの会に参加されることで大きな変化は起こらないかもしれませんが、会で同じ境遇の方のお話を参考に、少し変化が起こり、少しの変化が積み重なってご本人がご本人の望む人生をご自身で選んでいけることに少しでもつながると幸いです。
さなぎの会は、身内にニート・引きこもりの方がいらっしゃる方が集い、同じ悩みや心情を語り合ったり、互いに支え合ったりするための会です。ご家庭によって個別の事情は様々です。引きこもられた経緯も、ご本人の性格も…。したがって、スタッフはアドバイスの押し付けを行うことはなく、参加された方々が自由にお気持ちや意見を発言していただけるよう安心安全な場にすることに留意しております。
開催日時 | 月1回(原則毎月第3土曜日) 13:30~15:30 |
開催場所 | 柏市教育福祉会館およびリモート開催 |
参加費 | 1回 500円 さなぎの会の会員にご入会いただくと無料(年会費4,000円) |
偶数月は、ストレス対処やリラックス法、コミュニケーションの方法、地域の社会資源など、さまざまなテーマを採り上げてミニ講座を行っています。奇数月は、2時間フルに使った交流会、情報交換会を行っています。
2021年6月 | 「8年間就労支援トレーナーとして若者と向き合い続けてきて今思うこと・感じること」 |
2021年8月 | 「ストレスに気づいていますか?どう対処しますか?」~心と身体の健康について考え方や生活習慣、ゲーム依存などについて~ |
2021年10月 | 「在宅ワークという働きかた」~会社に通勤しない働き方「在宅ワーク」のはじめ方・心得など~ |
参加にあたっては次の3つのことをお約束していただいております。
1. 価値観の多様化と昨今の就労環境の中で立ちすくんでいる若者の問題を、家族の問題として取り組みその解決を目指します。
2. 会員同士同じ悩みを持つ仲間、協力すべき仲間として、良好な関係を築けるよう留意いたします。
3. 会員のプライバシーに留意し、本人の断りなく会合で知った個人のプライバシーは洩らしません。
毎年1回(原則9月)著名な先生をお招きして講演会を開催しています。
ここ数年は、引きこもり支援の第一人者である筑波大学教授で医学博士の斎藤環先生にご登壇いただき、当事者支援の方法などについてご講演をいただいています。毎年100名程度の方がご参加くださっています。(2020、2021年度は新型コロナ感染症拡大防止のため中止)
相談にあたっては守秘義務をお守りしますので、安心してご相談下さい。
開催曜日:第一・第三月曜日、第二金曜日、第二・第四土曜日の15時・16時・17時 からのいずれか
1回の相談時間:50分
料金:5,000円(但し、さなぎの会会員は3,000円)
※2回目以降のご相談についてはオンライン(ZOOM)相談が可能です。
STEP1 お問い合わせ
ご質問・ご要望など、以下の問合せフォームよりご連絡ください。
ご返信とともに、開催予定の行事等もご案内いたします。
STEP2 参加検討
ご希望に応じて、家族会、家族セミナー、個別相談に参加します。
STEP3 サポート
必要に応じてご本人への相談を行います。また、連携する支援機関(教育機関・福祉機関・自立支援機関・医療機関)へのご紹介も行います。
さなぎの会は、引きこもりの子供さんを持つご家族の悩みや心配事を共に考え、良い変化が見えた時は共に喜び、ご家族同士が安心して交流できる場です。そして、これからどう対応していけば良いか、参加された方々と一緒に考えて行く場でありたいと、私たちスタッフは考えています。
- うちの子は、ひきこもって3年になります。これからどうしたらよいのでしょうか?
- ひきこもりの状況は、本人や置かれた環境によって様々です。またひきこもりから外につながるきっかけもさまざまです。まずは本人のことを理解することを心がけ、自然に会話ができる関係づくりを目指しましょう。その過程で困ったことなど、外部に相談できる場所をみつけることが大切です。
- 子とコミュニケーションを良好に保つにはどうしたらよいのでしょうか?
- A 本人の良いところを認め、家族のためにしてくれたことなど、あれば感謝の気持ち「ありがとう」を伝えて下さい。また本人から返事がなくとも、日常のあいさつは必要です。日頃のあいさつ、たわいもない日常会話の積み重ねが大切です。
- ひきこもりが解決した例はありますか?
- 何をもって解決したというのは難しいですが、部屋から出てこない、親とのコミュニケーションがほとんど取れなかった状況から、親子で会話ができるようになり、手伝いなどをしてくれるようになったといった事例は多くあります。また、自立支援機関(地域若者サポートステーションなど)につながり、そこから就労につながったケースもあります。
その他のQ&Aはこちらをご覧ください。
スタッフ一同
スタッフ一同